僕はたまに、カップ焼きそばのお湯を捨てずに⾷べます。

おじいちゃんが病気で亡くなったお通夜の夜
いとこのツトム兄ちゃん、サキちゃん、福岡のミユキおばさん、
⻑崎のコウスケおっちゃんとその⾚ちゃん
親戚みんなで葬儀場に泊まりました。

みんなでおじいちゃんの話をしました。

宮⼤⼯のおじいちゃんがわざわざ佐世保から
京都のお寺の修理に呼ばれた話。

誇らしい話かと思ったら、
⼤事な⼤⼯道具を忘れて帰って来たとか、、、

コウスケおっちゃんの⼩学校の運動会。
おじいちゃんが1⽇間違えて練習の⽇に応援に来た話。
そのまま練習を応援して本番には来なかったとか、、、


楽しいお話が夜通し続いていた時、おばあちゃんが突然、号泣。
おじいちゃんをバカにしすぎたのか、
みんな、黙り込んでしまいました。

おばあちゃんは、泣きながら棺桶のところに⾏きました。

「あんた、こいば、いっちょんおいしゅうなかって
⼆⼈で⾔いよったたい!
ごめん こいラーメンじゃのうして 『焼きそば』やったごたっ!
お湯ば捨てんばって 書いてあった! ほらっ」

おばあちゃんは誰かが夜⾷⽤に買って来ていた
カップ焼きそばを持っていました。

おばあちゃんの号泣は⼤笑いに変わりました。
皆も笑いました。
結局、⼀番爆笑をとったのはおばあちゃんでした。

そして、コウスケおっちゃんがコンビニで
みんなのカップ焼きそばを買って来ました。
みんなは「まずいまずい」と⾔いながら、
お湯⼊りカップ焼きそばを⾷べました。

「あんたのおかげで、久しぶりにみんなの笑顔ば⾒られたよ〜
そして、こい! やっぱいおいしゅうなか!
ばってん楽しか〜 おじいちゃんありがと〜 ゆっくり休んでね〜」

なぜだろう! お湯⼊りカップ焼きそばが
僕には美味しく感じたのでした。